近年、散弾を飲み込んだハクチョウや、エゾシカの残滓と一緒にライフル弾の破片を食べたオジロワシなどが鉛中毒になって死亡するという痛ましい事故が起きています。このため、環境省及び都道府県では、平成12年度の猟期から、狩猟や有害鳥獣駆除などにおける鉛製の散弾やライフル弾の使用を規制する方針を出しました。

 具体的には、鉛散弾については、手始めに各都道府県に数箇所ずつ、鉄やスズなどでできた鉛以外の散弾しか使用できない地域が定められています(将来的には、全国の水辺域全域で、鉛散弾の使用が環境省により禁止される予定)。また、ライフル弾については、北海道のエゾシカ猟において、銅製のライフル弾などしか使用できないようになっています。

(散弾関係)

1 水鳥の鉛散弾中毒の起こる仕組み

 水鳥には歯がありませんので、「砂のう(砂ずり)」に小石を飲み込んで、食物の消化を助けるという習性があります。図に見られるように、鉛散弾中毒は、小石と間違えて鉛散弾を飲み込むことによって起こります。このため、鉛中毒の被害を防止するには、鉛散弾の替わりに、無毒性の素材を使用した散弾に切り替えることが必要とされています。諸外国でも、無毒性の散弾への切り替えが進んでいます。
鉛散弾による水鳥の鉛中毒


2 森林など(水辺域以外の地域)における規制

 環境省においては、今のところ、将来とも規制される予定はないといわれています。

3 平成12年度から規制される地域

 規制地域は、狩猟登録の時に配られるハンターマップ(狩猟地図)などに記載されます。また、水辺域とは、河川、湖沼、湿地、ため池、水田、海、干潟などです。本ホームページ中の「ハンテイング情報>行政情報(各種規制等)>鉛散弾の規制地域」にリストを掲載しています。

4 無毒性の散弾の種類と選択の目安

 ①軟鉄散弾など(鉛より硬い)と、②ビスマスやスズ散弾など(鉛とほぼ同じ硬さ)があります(表参照)。「スチール(鉄)弾対応銃」や「銃口部の絞りの緩い銃」の大部分では、どの散弾でも使うことができます。しかし、「銃口部の絞りのきつい銃」や「老朽化した銃」では、鉛とほぼ同じ硬さのビスマスやスズ散弾しか使えない場合がほとんどですので注意が必要です。詳しくは、もよりの銃砲店、装弾メーカー、輸入代理店などにお問い合わせ下さい。

各種散弾の諸特性
  散弾の種類 毒性 生産状況 硬さ
(鉛との比較)
比重
(鉛との比較)
鉛散弾 有毒 国産・輸入 1倍 1倍
鉄系

鉄散弾
(スチール散弾)

無毒 輸入 約5~8倍 約0.7倍
軟鉄散弾
(ソフトスチール散弾)
無毒 国産 約3~5倍 約0.7倍
非鉄系 ビスマス散弾 無毒 輸入 約1~2倍 約0.9倍
タングステン・マトリック
散弾
無毒 輸入 約2倍 約0.9倍
スズ散弾 無毒 輸入 約0.5倍 約0.7倍
※非鉄系散弾については、表中の3種以外にも色々な製品が開発されています。中には硬さが鉄と同等以上のものもあります。詳しくは、もよりの鉄砲店、散弾メーカー、輸入代理店にお問い合わせください。

「散弾の種類」と「対応する銃器の種類」 「散弾の種類」と「対応する銃器の種類」
※絞りの緩い銃については、使用して差し支えない場合があります。詳しくは、次項の表を参考にしてください。

5 絞りのきつい銃で鉛より硬い散弾を撃った場合に起きる問題

 銃身の強度の弱い銃では、銃身の一部が膨らむおそれがあります。このため、自分の銃に合った適切な種類の散弾を選ばなければなりません。
チョークの種類と軟鉄銃
〔資料提供:(社)日本猟用資材工業会〕
*この基準は、「判断のめやす」であって、安全を保証するものではありません。




6 「絞り」とは

 散弾の広がり方を調整するために、銃口部の内径を0.25~1㎜程度狭くしてある部分のことをいいます。絞りが緩ければ近くから広がりますし、きつければ遠くで広がります。自分の銃の絞りは、銃身の側面などに付いている刻印や、所持許可証の記載事項(実測口径)を見れば分かります(表参照)。
銃口部の絞り 全絞りと平筒

(ライフル弾関係)

1 オオワシやオジロワシの鉛中毒が起こる仕組み

 図に見られるように、山野に放置されたエゾシカの残滓と一緒に、鉛ライフル弾の破片を食べてしまうことによって起こります。このため、鉛中毒の被害を防止するには、エゾシカの残滓を山野に放置しないことと、無毒性の素材を使用したライフル弾に切り替えることが必要とされています。
鉛ライフル弾による鉛中毒


2 無毒性のライフル弾の種類

 バーンズ弾などの銅製のライフル弾や、フェイルセーフ弾などの芯材の鉛が飛散しない構造のライフル弾があります(表参照)。
無毒性ライフル弾等の種類

3 北海道のヒグマ猟における鉛ライフル弾使用の可否

 これまでどおり使用できません。

(スラッグ弾関係)

1 スラッグ弾等の規制

 北海道庁により、鉛製のスラッグ弾等の規制が行われています。無毒性のスラッグ弾としては、銅製のスラッグ弾等があります。

2 サボットスラッグ弾とは

 スラッグ弾は、散弾銃で発射できる1発の単体弾です。スラッグ弾には色々な形のものがありますが、大きくは2種類に分類できます。普通の散弾銃(銃身の内面が平滑なもの)用のスラッグ弾と、特別な散弾銃(銃身の1/2未満にライフリング(らせんの溝)が切ってあるもの)用のサボットスラッグ弾です。サボットスラッグ弾は、銃身のライフリングへの引っかかりによって、回転しながら飛ぶようにできているために、普通のスラッグ弾より直進性や命中率が良くなります。